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肛門瘙痒症 (肛門掻痒症・こうもんそうようしょう)
皮膚に原因がないのにおしりがかゆくなる病気です。
でも、かゆくて掻いたりこすったりしていると皮膚がボロボロになり、湿疹化します。
これは掻くことによって自分で作った湿疹です。皮膚病ではありません。人にうつったりもしません。
【 肛門掻痒症の対処法 】
ひどくならないうちに肛門科の専門医へ!
市販の軟膏などを使用せず、早めに受診しましょう。
間違った薬をぬるとかえって症状が悪化します。
また、治療のためにぬった軟膏でかぶれることもあります。
自己治療せず、まずは受診しましょう。
» 「肛門科の選び方」について
【 肛門掻痒症の詳しい説明 】
何ともいい加減な病名ですが、肛門が痒い病気を総称してこのように呼びます。
ですから原因が違ってもみんな同じ病名が付けられてしまうことにもなりかねません。 正しい診断が大切です。
1.皮膚病ではありません
自分で掻いて作った湿疹です。アトピー性皮膚炎のように体の内側から吹き出して出来る湿疹とは違います。
皮膚は正常なのに、掻いてボロボロにしてしまっただけです。
掻きむしることによって皮膚に傷が出来たり、赤くなったり、
いよいよひどくなると皮膚全体が腫れて盛り上がったようになり、色も白っぽくふやけたようになります。
こうなると慢性化し、治療にも時間がかかります。
2.痒みの原因は便です
ではなぜかゆくなったのでしょう?かゆいから掻きむしってしまったわけですよね。
痒みの原因は便です。診察すると肛門の中や直腸に便がたまったり、残ったりしています。
たとえ毎日便が出ていても、すっきり出ずに中に残っていれば便秘です。
便の刺激でかゆみが引き起こされます。
最初はおしりが何となくムズムズ、もぞもぞする感覚から始まります。
そこでトイレットペーパーなどでこすって拭いたり、ウォシュレットで念入りに洗ったり、
入浴時に石鹸で肛門を洗ったりして摩擦を加え洗いすぎるようになります。
石鹸洗浄・過洗浄により皮膚は乾燥し、かゆみはさらにひどくなっていきます。
洗うという行為がエスカレートしていき、掻きむしるようになります。
初期の頃は入浴後から就寝前にかゆみを感じるケースが多いですが、
ひどくなると寝ている間に無意識に掻くようになったり、
夜だけではなく一日中かゆみを感じるようになります。
3.肛門掻痒症と間違えやすい病気
接触皮膚炎 |
いわゆる「かぶれ」です。肛門のかぶれの原因として多いのは、
市販の軟膏、ナプキン、肛門専用のスプレー、消毒薬、ウエットティッシュなどがあります。
これらのものは使用しないで下さい。また、脱肛や痔瘻からの分泌物でかぶれる場合もあります。
その場合は脱肛や痔瘻の治療をしなければ皮膚炎も治りません。 |
皮膚カンジダ症 |
いわゆる「カビ」です。「水虫」のようなものです。
もともとカンジダという真菌は正常な皮膚にも少しだけ存在するのですが、
体の抵抗力が落ちると増殖します。痒みはほとんどないか、あっても軽度のことが多いです。 |
ぎょう虫症 |
子供の時に肛門にセロハンを当てて検査したのを覚えていませんか?
最近は少なくなりましたが時々あります。明け方にかゆくなるのが特徴です。
湿疹などの皮膚変化は見られないことが多いです。お近くの保健所かないかにお問合せいただき検査して下さい。
ぎょう虫を駆除する薬を内服すれば治ります。 |
皮膚癌 |
まれに肛門に発生した皮膚癌でかゆくなることがあります。
長い間、湿疹だと思って治療していたら実は癌だった…というケースもあります。
1ヶ月以上たっても肛門周囲の湿疹が治らず、痒みがおさまらなかったり、
症状が悪化するようでしたら一度、肛門科の専門医か皮膚科専門医を受診しましょう。 |
尖圭コンジローマ |
ヒトパピローマウイルスによる感染症で、主に性行為を介してうつる病気です。
人にうつったり、他の場所にうつったり広がったりしますので早めに受診しましょう。 |
【 肛門掻痒症の治療 】
■ 便秘の治療
かゆみの原因は便ですから、便が肛門にたまったり残ったりしないよう、毎日便をすっきり出しましょう。
いくら温水便座で肛門の外側をきれいに洗っても、中が便まみれだったらきれいになるはずがありません。
たとえ便がすっきり出た!と思っても、実際にはすっきり出ていない状態を「直腸性便秘」といいます。
これを治さなければ、いくら軟膏をぬっても一時的にかゆみがおさまるだけで根本的な治療になりません。
便秘の治し方は人それぞれです。ご自分に合った治療法を指導してもらいましょう。
■ 塗り薬
症状のひどい場合はステロイド外用剤を使います。 副作用を心配される方がおられますが、
正しく使えば副作用は出ません。 「ちょこちょこダラダラ」使っているとステロイドがクセになり、
離脱できなくなります。 またステロイドは急にやめるとリバウンドが起こるので、
お薬の濃度を落として徐々にやめていきます。そうすれば副作用は出ません。途中で塗り忘れたり、
塗るのをやめたりすると治療が振り出しに戻ります。
また、「治った!」と思っても「かゆみがない=治った」とは限りませんので、確認の診察は受けましょう。
■ 正しいおしりの手入れ
- a) 掻かない!こすらない!
- いくら薬をまじめに塗っていても、掻いていては治りません。
掻かないように薬を処方してありますので、強い意志でもって掻くという行為を抑えて下さい。
またトイレットペーパーでゴシゴシこすって拭くのもやめましょう。押さえ拭きが原則です。
- b) 洗いすぎない!
- 温水便座はなるべく使わないで下さい。使用する場合は水圧と水温を一番低く設定し、
5秒以内で終わって下さい。すっきりきれいに便が出ると、温水便座など使わなくてもきれいになります。
- c) 乾燥させない!
- 皮膚が乾燥すると痒みを感じる神経が増殖して皮膚表面まで伸びてくると言われています。
つまり「皮膚が乾燥するとかゆくなる、痒みを感じやすくなる」のです。
温水便座の乾燥モードなんてもってのほか!使わないで下さい。
- d) 薬品はいっさい使わない!
- 石鹸を含め、消毒薬、薬局で売っている肛門のスプレー、
ウエットティッシュなどはいっさい使わないで下さい。
入浴時に石鹸のついたタオルで肛門を直接ゴシゴシ洗うのはやめましょう。
背中を洗った石鹸の泡が下に落ちていきますのでそれで十分です。
私、大阪肛門科診療所(旧 大阪肛門病院)の女医 佐々木みのりは、
元皮膚科医としての経験を活かし、肛門掻痒症の治療にも積極的に取り組んでおります。
(日本大腸肛門病学会において、肛門掻痒症の治療に関する論文発表の実績もあります。)
どうぞ、お気軽にご相談下さい。 » 大阪肛門科診療所のホームページ
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